春夏向けと秋冬向け、触り心地はどう違う?カームダウンパーカーの生地を数値で比較しました

春夏向けと秋冬向け、触り心地はどう違う?カームダウンパーカーの生地を数値で比較しました

春夏向けと秋冬向け、触り心地はどう違う?カームダウンパーカーの生地を数値で比較しました

KANKAKU FACTORYのカームダウンパーカーには、「春夏向け」と「秋冬向け」があります。

デザインや縫製の考え方は共通していますが、使用している生地は異なります。春夏向けは、薄手で軽い綿100%の生地。秋冬向けは、やわらかさと厚みのあるレーヨン混の生地です。

触ってみると、それぞれ違った心地よさがあります。しかし、「なめらか」「さらさらしている」と言葉で説明するだけでは、具体的に何が違うのか分かりにくいものです。

そこで今回、2種類のパーカーに使用している生地を同じ条件で検査し、表面の摩擦や凹凸を数値で比較しました。検査を行ったのは、第三者の繊維検査機関である一般財団法人ケケンテストセンターです。

 

生地のなめらかさは、どうやって測るの?

 

今回行ったのは「KES表面特性試験」です。

KESは「Kawabata Evaluation System」の略で、人が布に触れたときに感じる風合いと関係する物理的な特性を、専用の測定機で数値化する方法です。

今回の試験では、接触子と呼ばれるセンサーを生地の表面に当て、2cmの範囲を移動させながら、生地表面の摩擦や凹凸を測定しました。

なめらかさを一つの数値だけで判断するのではなく、次の3つの指標から確認します。


MIU
平均摩擦係数)

表面の滑りやすさ

センサーを生地の上で滑らせたときに、どのくらい抵抗が生じるかを表しています。

数値が大きいほど滑りにくく、数値が小さいほど滑りやすい表面です。

MMD
(摩擦係数の変動)

摩擦のムラ

生地の上をセンサーが移動したときに、摩擦の強さがどの程度変化したかを表します。

数値が大きいと、滑る部分と引っかかる部分の差が大きくなります。数値が小さいほど摩擦が均一で、滑らかな表面と考えられます

SMD
表面粗さの平均偏差

表面の凹凸

生地表面の細かな凹凸や、そのばらつきをマイクロメートル単位で測定します。

数値が小さいほど、表面の凹凸が小さく、平滑な生地であることを示します

 

 

春夏向けと秋冬向け生地を比較

今回は、春夏向けと秋冬向けの黒い生地を使用し、両方とも生地の表面を測定しました。生地は両方ともに黒としました。(感覚過敏研究所の所長・加藤の手触りの感覚では、黒の染料は他の色より硬くなるという評価をしています。そのため、比較検討の色を統一しました)

検査項目 春夏向け 秋冬向け 数値が小さいと
MIU・平均摩擦係数 0.153 0.141 滑りやすい
MMD・摩擦係数の変動 0.0075 0.0074 摩擦のムラが少ない
SMD・表面の凹凸 1.904μm 3.591μm 表面がフラット

 

検査結果を見ると、春夏向けと秋冬向けで異なる特徴が表れました。

1.秋冬向けは、表面の摩擦抵抗がやや小さい

表面の滑りやすさを示すMIUは、春夏向けが0.153、秋冬向けが0.141でした。

秋冬向けの生地は、春夏向けよりも平均摩擦係数が約7.8%低い結果です。

つまり、今回の測定では、秋冬向けのほうがセンサーを滑らせたときの抵抗が小さく、より滑りやすい表面でした。

秋冬向けには、レーヨン63%、ナイロン32%、ポリウレタン5%のストレッチポンチを使用しています。厚みと重量感がありながら、表面は滑りやすいという特徴が数値にも表れています。

2.摩擦のムラは、ほぼ同程度

摩擦のムラを示すMMDは、春夏向けが0.0075、秋冬向けが0.0074でした。

数値上は秋冬向けのほうが約1.3%低いものの、差は0.0001です。今回の結果からは、縦方向と横方向を合わせた摩擦のムラは、ほぼ同程度だったと捉えるのが適切です。

方向別に見ると、縦方向では秋冬向け、横方向では春夏向けの数値が小さくなっています。そのため、「どの方向でも一方が滑らか」とはいえず、どちらも全体として摩擦の変化が小さい生地です。

3.春夏向けは、表面の凹凸が大幅に小さい

2つの生地で最も大きな違いが表れたのが、表面の凹凸を示すSMDです。

春夏向けは1.904μm、秋冬向けは3.591μmでした。

つまり、春夏向けの生地は、秋冬向けよりも表面の凹凸が小さく、よりフラットに整った表面であることが確認されました。

春夏向けには、綿100%の超長綿を使用したスムース生地を採用しています。毛羽立ちを抑え、しなやかな風合いを出す加工も施しており、その平らな表面特性がSMDの数値にも表れたと考えられます。

ちなみに、KANKAKU FACTORYのKABIN-Tシャツも生地のなめらかさ試験をしています。KABIN-Tシャツの記事のSMDは、2.825μm。春夏向けパーカーは、KABIN-Tシャツよりもさたに、表面の凸凹が少ない生地であることがわかります。

KABIN-Tシャツと一般的なTシャツの生地の検査結果

 

凹凸が大きいのに、秋冬向けパーカーのほうが摩擦が小さいのはなぜ?

今回の結果を見ると、少し不思議に感じるかもしれません。秋冬向けは、春夏向けよりも表面の凹凸を示すSMDが大きい一方で、摩擦抵抗を示すMIUは小さくなっています。

表面に一定の凹凸があっても、使用している繊維や表面の状態によって、センサーが滑りやすい場合があります。反対に、見た目が平らでも、表面の摩擦抵抗が大きい生地もあります。そのため、「凹凸がある=必ずざらざらして滑りにくい」というわけではありません。

今回の秋冬向け生地は、春夏向けよりも表面の凹凸は大きいものの、摩擦抵抗は小さいという特徴を持っていました。これは、「肌にはりつきにくい」「シャリ感があって滑らか」「重量感があることでまとわりつかない」などの状況か絶妙な風合いをもたらしています。

袖を通したことがある方は体感いただけたと思いますが、秋冬向けパーカーは、袖を通した時の感覚がびっくりするくらい滑らかなのです!

 

2つのパーカーの違い

今回の結果を簡単にまとめると、次のようになります。

春夏向けパーカー

  • 表面の凹凸が小さく、よりフラット
  • 摩擦のムラは秋冬向けとほぼ同程度
  • 綿100%の薄手で軽い生地
  • バッグに入れて持ち歩きやすい
  • 肌寒い日や、冷房対策にも使いやすい


秋冬向けパーカー

  • 春夏向けよりも摩擦抵抗が小さく、滑りやすい
  • 摩擦のムラは春夏向けとほぼ同程度
  • やわらかく、厚みと重量感のある生地
  • 寒い時期の普段着や防寒に適している
  • 生地の重みを心地よく感じる方にも選ばれている

 

季節だけでなく、自分が心地よいと感じる生地から選ぶ

感覚の敏感さがある方にとって、生地の好みは人によって大きく異なります。

凹凸の少ない表面を好む方もいれば、厚みや重みがある生地のほうが安心して着られる方もいます。また、綿を好む方もいれば、レーヨンの滑るような感触を好む方もいます。

オールシーズン、真夏でも秋冬パーカーを着る方もいらっしゃいますし、逆に真冬でも春夏用パーカーを好まれる方もいらっしゃいます。

KES試験によって表面の特徴を数値で比較することはできますが、その数値だけで、一人ひとりの着心地を決めることはできません。

今回の検査結果を、生地選びの一つの判断材料としてご活用いただければ嬉しいです。

肌ざわりが自分に合うか心配な方には、生地サンプルと、ご自宅での試着サービスをご用意しています。

 


【試験概要】

試験機関:一般財団法人ケケンテストセンター 中部事業所
試験内容:KES表面特性試験
測定項目:MIU、MMD、SMD
測定範囲:2cm
測定面:生地の表面
試験生地:春夏向け・秋冬向けともに黒

※検査結果は、今回提出した試験片を所定の条件で測定したものです。すべての色や製品に同じ結果が当てはまることを保証するものではありません。

※「約7.8%低い」「約47.0%低い」は、それぞれの測定値を比較した割合です。着心地や快適性が、その割合だけ高いことを意味するものではありません。

※実際の着心地や刺激の感じ方には個人差があります。